学びのこよみ:趣旨

「学びの共同体」の理念に基づいた体育における学びのデザインと展開

 群馬大学教育実践年報 第8号 2018年pp.7-11

 

「学びのこよみ」の作成へ

 

 

「体育における対話的学び」の三位一体とそのデザインの手順は、学校現場を想定してできる限りシンプルに提出してみたものの、多忙化極まる学校現場において、すべての校種の、すべての学年に対応する領域を、一からデザインするには困難が予想される。

 そこで、質の高い体育の学びのデザイン開発を目指し、プロジェクト(「学びの共同体」における体育授業のデザイン開発と学びのネットワークの構築:平成27~29年度基盤研究(C)(一般))を立ち上げ、「学びのこよみ」の作成に取り組んでいる。

 この「学びのこよみ」とは、四月始まりの月別卓上カレンダーで、学習指導要領の領域構成と内容に基づいた単元デザインを12カ月分、配列したものである。表面には、タイトルとして「共有課題」を示し、授業で見取りたい学びの視点をイラストで描いてある。裏面には、タイトルとして「運動学習の転換のポイント(AからBへ)」を示し、「行い方」「場づくり」「ジャンプ課題」「わざ(身体技法)」の観点から解説を掲載してある。

 

  

 

現在、小学校低・中・高学年のそれぞれの「学びのこよみ」が完成し、幼稚園(5歳児)の「運動遊びのこよみ」の作成に着手している。

私たちの願いは、職員室の先生方の机の上にこれを置いてもらうことである。そして、「これはおもしろそうだな。やってみようかな」、「これはちょっと違うな。私ならこうする」と思いながら、日々の体育の授業へ出かけてもらいたいのである。この繰り返しが、「主体的・対話的で深い学び」を体育で実現するためのもう一つの側面である「カリキュラム・マネジメント」の実現につながると信じている。

(『体育科教育(2017年4月)』より一部抜粋)